しながわ在宅クリニック

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うつ病で使える経済的支援制度

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うつ病になると働くのが困難になり、収入面で大きな不安を抱える方が多くいらっしゃいます。治療はもちろん、生活するためにもお金は必要であり、経済的な不安がよりうつ病を悪化させてしまうこともあります。そのような不安を解消するため、行政を中心にいろいろな支援制度が設けられています。この記事では、うつ病で使える経済的支援制度をご紹介します。

治療はもちろん、生活するためにもお金は必要

うつ病はある程度長い期間の治療を継続することになり、相当の治療費が必要になります。また、うつ病によって働くのが難しい患者さんもいらっしゃいます。そのため、経済的な負担は無視できないものであり、その不安からうつ病の症状を悪化させてしまうこともあります。

そのような不安を持つ方のために、行政などがいろいろな支援制度を設けています。支援を受けるには条件があることが多いため、うつ病であれば無条件で支援を受けられるわけではない点は注意が必要です。経済的に困っているのであれば、これから紹介する経済的支援制度の利用を検討してください。

うつ病で使える経済的支援制度

医療費負担1割に「自立支援医療」

健康保険を使って精神疾患の治療を受ける際に、自己負担額が1割に軽減されます。また、1ヵ月当たりの上限額が決まっており、上限額以上の負担が発生しないようになります。上限額は世帯の所得、治療する疾病などによって決まります。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。申請に必要なものは、市区町村によって異なることがあるため、詳細は市区町村の担当課にお問い合わせください。原則、自立支援医療受給者証は1年ごとの更新が必要です。

自立支援医療(厚生労働省)
自立支援医療(精神通院医療)(品川区)
自立支援医療(精神通院医療)(大田区)
自立支援医療制度(精神通院)(目黒区)

上限額を超えた医療費を支給「高額療養費制度」

保険診療で医療機関や薬局に支払った1ヵ月の金額が上限額を超えた際に、超えた金額を支給する制度です。上限額は年齢や所得によって異なります。基本的には1度は窓口で支払ってから支給を受けるものですが、認定証などを医療保険から交付を受けることで、上限額を超える分を窓口で支払う必要がなくなります。

手続きは加入している医療保険で行います。支給申請は2年までさかのぼって申請可能です。

高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省)
高額療養費(品川区)
高額療養費(高額な医療費を支払ったとき)(大田区)
国民健康保険 高額療養費(目黒区)

重度の障害医療費の助成「都道府県の心身障害者医療費助成制度」

心身に重い障害がある場合に、医療費の一部、あるいは全部を助成する制度です。対象となる条件は自治体により異なるため、詳しくはお住まいの障害福祉を担当する部署へお問い合わせください。東京都では精神障害者保健福祉手帳1級が条件となっています。また、所得や年齢による制限もあるので注意が必要です。

手続きはお住まいの自治体の障害福祉課等で行います。先にご紹介した自立支援医療との併用が可能で、自立支援医療が優先されます。

心身障害者医療費助成制度(東京都福祉局)
心身障害者(児)医療費助成(品川区)
心身障害者(児)医療費の助成(マル障受給者証)(大田区)
心身障害者・心身障害児医療費助成(マル障)(目黒区)

最低限の生活を保障する「生活保護」

資産や能力などを活用しても生活に困っている方に対して、最低限度の生活を保障する制度です。支給額は厚生労働大臣が定める最低生活費から収入を引いた額となります。預貯金や土地、家屋などの資産がない、就労が困難、親族からの援助を受けられないなど、どうにもならない状況の方に向けた制度であるため、生活保護の審査は厳しいものとなっています。

手続きはお住まいの地域を所管する福祉事務所で行います。申請を行うと、生活状況を把握するための実地調査、預貯金や不動産などの資産調査などの調査が実施され、支給要件を満たしているかが確認されます。要件を満たしていると判断された場合に、毎月保護費が支給されます。

生活保護制度(厚生労働省)
生活保護とは(品川区)
生活保護その他の相談(大田区)
生活保護(目黒区)

現役世代でも受給できる年金「障害年金」

病気やケガによって生活や仕事などに支障が出た場合に受給できる年金です。年金の一種であるため、国民年金または厚生年金に加入、納付している必要があります。ただし、初診日が20歳前の場合は納付要件は不問となります。障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金があり、国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されます。障害年金の金額は等級によって異なり、等級は障害の重さによって決定されます。受給する要件はやや複雑なため、ここでは割愛させていただきます。詳しくは市区町村の障害福祉担当窓口、年金事務所、年金相談センターなどへお問い合わせください。

手続きも市区町村の障害福祉担当窓口、年金事務所、年金相談センターなどで行います。申請は初診日から1年6カ月経過している必要があるのでご注意ください。

国民年金に任意加入していなかったことにより受給要件を満たせない場合は、次にご紹介する「特別障害給付金制度」をご覧ください。

障害年金(日本年金機構)
障害基礎年金(国民年金)(大田区)

年金に加入してなかった方が受給できる「特別障害給付金制度」

国民年金の任意加入期間に加入しなかったことで、障害年金を受給することができない方を対象に給付金を支給する制度です。障害基礎年金の1級もしくは2級に当たる方が対象となります。支給額は、前年の消費者物価指数に合わせて毎年見直しがされます。2024年度の支給月額は1級が55,350円、2級は44,280円が基本で、老齢年金や遺族年金等を受給している場合は差し引いた金額となります。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。

特別障害給付金制度(日本年金機構)
特別障害給付金制度について(厚生労働省)
特別障害給付金(品川区)
特別障害給付金(大田区)
特別障害給付金制度(目黒区)

介護が必要な方を支援「特別障害者手当」

重度の障害で日常生活において介護を必要とする方に手当を支給します。支給要件は、介護が必要であること、20歳以上、在宅であることです。現在(2024年12月)での支給額は月額28,840円。受給者、もしくは配偶者や扶養義務者が一定以上の所得を得ている場合は支給されません。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。

特別障害者手当について(厚生労働省)
特別障害者手当等(国制度)(品川区)
特別障害者手当(国制度)(大田区)
特別障害者手当(目黒区)

障害を持つ子どもの養育者を支援「特別児童扶養手当」

精神や身体に障害を持つ、20歳未満の子どもを養育している父母等に手当を支給する制度です。障害の重さによって等級が定められ、等級ごとに支給額が決まっています。現在(2024年12月)での支給月額は1級が55,350円、2級が36,860円です。受給資格者(障害児の父母等)や、その配偶者などの所得が一定額以上ある場合は支給されません。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。

特別児童扶養手当について(厚生労働省)
特別児童扶養手当(国制度)(東京都福祉局)
特別児童扶養手当(品川区)
特別児童扶養手当(大田区)
特別児童扶養手当(目黒区)

重度の障害を持つ子どもに支給「障害児福祉手当」

精神や身体に障害を持つ20歳未満の子どもに手当を支給する制度です。受給資格が認定されると手当が支給されます。受給資格に等級はありません。現在(2024年12月)での手当月額は15,690円です。受給資格者(障害児)、その配偶者や扶養義務者などの所得が一定額以上ある場合は支給されません。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。

障害児福祉手当について(厚生労働省)
障害児福祉手当(国制度)(東京都福祉局)
特別障害者手当等(国制度)(品川区)
障害児福祉手当(国制度)(大田区)
障害児福祉手当(目黒区)

保護者に万一があった際、生涯支給される「扶養共済制度」

精神や身体に障害を持つ方を扶養する保護者の方に死亡や重度障害があった時に、残された障害者の方に終身一定額の年金が支給される制度です。いわゆる生命保険と同じ仕組みをしており、保護者の方は任意で加入をし、毎月一定額の掛け金を収める必要があります。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)(厚生労働省)
東京都心身障害者扶養共済制度について(東京都福祉局)
心身障害者扶養共済制度(品川区)
心身障害者扶養共済制度(大田区)
心身障害者扶養共済制度(目黒区)

生活に必要な資金などを貸付「生活福祉資金貸付制度」

低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯に無利子または低利子で資金の貸付を行う制度です。貸付なので、返済の義務がある点に注意が必要です。貸付を受けるには条件、限度額がありますので、詳しくはこの後に掲載するリンク、またはお住まい地域の福祉協議会へお問い合わせください。

手続きは市区町村の福祉業議会で行います。

生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
生活福祉資金貸付条件等一覧(厚生労働省)
生活福祉資金貸付制度について(東京都福祉局)
生活福祉資金貸付事業(品川区社会福祉協議会)
生活福祉資金貸付制度(教育支援資金・緊急小口資金など)(大田区社会福祉協議会)
生活福祉資金の貸し付け(東京都社会福祉協議会からの受託事業)(目黒区社会福祉協議会)

生活に困っている方を支援「生活困窮者自立支援制度」

生活に困っている方の相談を受け、その人ごとの状況に合わせて様々な支援を行う制度です。経済面の支援としては、家賃相当額の支給があります。支給には就職に向けて活動をしているなどの条件があります。

お住まい地域の自立相談支援機関にて相談できます。

生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
生活困窮者自立支援制度について(東京都福祉局)
生活にお困りの時は(品川区)
生活困窮者自立支援制度(大田区)
めぐろ くらしの相談窓口(目黒区)

障害によって働けない時に受け取れる手当「傷病手当」

会社などで仕事をしている方が、うつ病を含む病気やケガのため働くことができなくなり、給料をもらえなくなった際に支給される手当です。支給には療養のため労務不能であること、4日以上仕事を休んでいること、給与の支払いがないなどの条件があります。支給は最長で1年6カ月です。

手続きは加入している医療保険で行います。会社側で手続きをするケースもあるので、まずは勤め先に問い合わせてみてください。

病気やケガで会社を休んだとき(全国健康保険協会)

仕事で病気やケガになり働けない時に賃金を補償「労災補償」

仕事や通勤など業務上で病気やケガをして休業し、給料を受けられないときに賃金の補償をする制度です。障害が残った場合や業務上で亡くなった場合の補償もあります。

手続きは労働基準監督署で行います。傷病手当と同様に会社側で手続きをするケースもあるので、労災が発生したと考えられる場合は、まず勤め先に相談してみてください。

労災補償(厚生労働省)

失業して再就職までの間に給付される「失業保険」

働いている方(雇用保険被保険者)が離職したときに、生活の心配をしないで就職活動をするために給付される手当。原則、離職日の以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること、求職活動をしていることが条件です。給付金額、期間は離職前の賃金や在籍期間などによって異なります。

手続きは自治体のハローワークで行います。

雇用保険手続きのご案内(ハローワークインターネットサービス)
雇用保険の失業給付(品川区)
失業給付(雇用保険)(大田区)

税金控除、公共料金割引など「精神障害者保健福祉手帳」

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患の重症度によって交付される手帳です。等級は1級から3級の3段階があります。手帳を持つことによって、所得税や住民税の控除、公共料金の割引、医療費助成などの支援を受けることができます。手帳によって得られることは多岐にわたりますので、詳しくは市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

手続きは市区町村の担当窓口で行います。申請時には、申請書、診断書または障害年金証書等の写し、本人の写真の3点と市区町村によってマイナンバーを確認する書類、身元確認書類などが必要になります。手帳は交付から2年間有効で、継続して交付を受ける場合は更新手続きが必要です。

精神障害者保健福祉手帳(東京都福祉局)
精神障害者保健福祉手帳(品川区)
精神障害者保健福祉手帳(大田区)
精神障害者保健福祉手帳(目黒区)

年間の医療費によって所得を控除「医療費控除」

年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得税の控除を受けることができます。一定額は所得金額によって例外となる場合もありますが、10万円が基本です。医療費は実際に支払った金額から生命保険などで支給される金額を差し引いた金額となります。また、医療費控除の対象となるのは納税者本人だけでなく、共通の資金で生活をしている方を含みます(例:配偶者、子ども、兄弟姉妹)。

手続きは医療費控除に関する事項を記載した確定申告を提出することで行われます。医療費の領収書は提出不要ですが、5年間保管する必要がある点にご注意ください。

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)

所得税や住民税を控除「障害者控除と特別障害者控除」

障害を持っている方、あるいは障害を持っている方を扶養している方は、所得税や住民税の控除を受けることができます。控除額は「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3つの区分で異なります。区分については、この後に掲載するリンク先をご覧ください。

障害者控除の申請は年末調整、あるいは確定申告の際に行います。相談は税務署や市区町村の税務課で行うことが可能です。

障害者控除(国税庁)
所得税・住民税の障害者控除(品川区)
障害者控除(所得税・住民税)(大田区)
所得税及び住民税の障害者控除(目黒区)

自動車税・軽自動車税及び自動車取得税の控除

障害を持っている方、あるいは障害を持っている方と生計を共にしている方が使用する自動車に関する税金が減免されます。所有者や運転者が障害を持っている方ではない場合、使用目的が障害を持つ方の通院や通学等に使用する場合のみ対象となる点ご注意ください。

税の種類によって申請等の手続き先が異なります。詳しくは次に掲載するリンク先をご覧ください。

自動車税環境性能割・自動車税種別割の減免制度のご案内(東京都主税局)
自動車税(種別割)・軽自動車税(種別割)・環境性能割(品川区)
自動車税・軽自動車税の減額・免除(減免)について(大田区)
障害者の自動車税自動車取得税・軽自動車税の減免(目黒区)

うつ病で使える経済的支援制度についてお伝えしました。うつ病になると思うように働けないなど、経済面で不安になる方も多いでしょう。その不安からうつの症状を悪化させてしまう方もいらっしゃいます。日本には行政を中心に経済面の支援をする制度が多くあります。対象となる方が申請して初めて受けられる支援がほとんどですので、受けたい支援がありましたらご紹介した窓口へお問い合わせしてみてください。

関連ブログ記事

うつ病かもと思ったら、相談できる機関

関連リンク

こころの健康サポートガイド 困ったときに受けられる支援・サービス(厚生労働省)

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