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紫外線対策について、日焼け止めの選び方

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夏が近づいてくると耳にする紫外線対策。日焼け止めを塗るなどして対策している方も多いのではないでしょうか。紫外線は光の波長が短い光線のことで、紫外線を浴びると体に様々な影響があります。そのため、紫外線対策をすることは健康でいるためにも大切なのです。この記事では紫外線とはどういうものなのか、紫外線が強い季節、時間帯、体への影響や紫外線対策方法、日焼け止めの選び方についてお伝えします。

紫外線とは

光の波長が1~400 nmの光線を紫外線と言います。可視光線の中で短いものが紫色に見え、それよりも外側の波長(短い)ということから紫外線と名づけられています。英語ではUltra Violetと表記され、UVと略されます。

紫外線は波長によって、近紫外線(200~400 nm)、遠紫外線もしくは真空紫外線(10~200 nm)、極紫外線もしくは極端紫外線(1~10 nm)に分類されます。極紫外線はX線に近く、X線と分類する場合もあります。これらの分類で紫外線対策として紫外線と呼んでいるのは近紫外線です。

近紫外線は波長によってさらにUV-A (315~400 nm)、UV-B (280~315 nm)、UV-C (100~280 nm)に分類されます。これらのうち、UV-Cはオゾン層で吸収されるため、対策が必要なのはUV-AとUV-Bの2つです。UV-C自体は人体への影響が大きいため、オゾン層破壊により地上に到達するようになることがあれば、対策が必要になるかもしれません。

光線の長さによる分類
※クリック(タップ)で拡大します

紫外線が強い季節、時間

紫外線は季節によって地上に到達する量に違いがあります。冬は少なく、3月ごろから徐々に増え、6~8月がピークになります。また、1日の時間帯によっても紫外線量に差があり、朝から少しずつ増え、12時を頂点に少しずつ減少します。

雨天や曇天などで太陽がさえぎられていると、紫外線も届かないというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、雨の日でも30%程度、薄曇りであれば80%程度の紫外線が届きます。また、室内でもUV-Aは窓ガラスを通過するため、対策が必要です。

紫外線による影響

紫外線による影響は肌だけでなく、目などにも影響があります。それらは波長によって異なります。

UV-Aによる影響

皮膚の奥(真皮)まで届き、肌を黒くする色素沈着を起こします。肌が黒い日焼けはまさにUV-Aによるもの。サンタンとも言います。肌の弾力やハリに関わる弾性線維(エラスチン)や膠原線維(コーラゲン)にダメージを与えるため、しわやたるみの原因となり、肌の老化に繋がります。

UV-Bによる影響

UV-Bは真皮までは届かず、肌の表皮細胞を傷つける性質があります。皮膚が赤くなりヒリヒリする日焼けはUV-Bによるものです。サンバーンとも言います。また、UV-Bはシミ、そばかす、皮膚がんの原因となります。目にも影響があり、紫外線角膜炎や白内障になることも。

紫外線対策方法

紫外線対策の具体的な方法としては次のようなものがあります。

  • 日焼け止めを塗る
  • 日傘、帽子、サングラスの使用
  • 長袖、厚手の服装を選ぶ
  • 外出時は日陰を選ぶ

この中で安定して紫外線対策となるのは日焼け止めです。日焼け止めについては後ほど解説します。ここでは日焼け止め以外の方法について補足説明をしていきます。

日傘はUVカット率が高いものを選びましょう。UVカット加工は使っているうちに摩耗していくので、2年を目安に買い替えるのをおすすめします。サングラスもUVカット効果があるものを選びましょう。黒などの色が濃いほどUVカット率が高いイメージがあるかもしれませんが、色の濃さとUVカット率は別であると考えてください。逆に黒などのレンズだと瞳孔が開いてしまい、UVカット率が低いレンズの場合は目のダメージが大きくなるので要注意です。

服装は肌の露出が少なく、厚手の素材の物の方が紫外線対策になります。とはいえ、暑い時期にそのような服装をして、熱中症など別の体調不良になってはいけないので、無理は禁物です。服装による日焼け対策は、快適に過ごせる服装の中でできる範囲にとどめ、日焼け止めに頼るのが良いでしょう。薄手でもUVカット加工されている服もあるので、そのようなものを活用するのも良いと思います。

また、最近はUVカット加工を施せる洗剤というのも販売されています。お気に入りの服がある方はこのような洗剤を使うのも良いでしょう。

日焼け止めの選び方

日焼け止めは仕組みによって「紫外線散乱剤」「紫外線吸収剤」の2種類があります。紫外線散乱剤は、紫外線を反射する細かい粒を肌の上に敷き詰めることで紫外線が肌に届かないようにします。紫外線吸収剤は紫外線を吸収する性質があり、肌の上で紫外線を吸収することで、紫外線が肌に届かないようにします。

紫外線散乱剤は比較的刺激が少ない傾向があり、白浮きしやすいデメリットがあります。紫外線吸収剤は白浮きしませんが、肌に刺激を与えやすいのがデメリットです。ただ、最近はどちらもデメリットを克服するような日焼け止めが開発されているので、仕組みによる違いを気にする必要はなくなりつつあります。

日焼け止めを選ぶのに重要なのは、日焼け止め効果の強さ。日焼け止め効果の強さは「SPF(Sun Protection Factor)」と「PA(Protection Grade of UV-A)」の2つで表されます。SPFはUV-Bを防ぐ力の指標で、PAはUV-Aを防ぐ力の指標です。

SPFは数値で表され、塗らなかった状態と比べて何倍紫外線に耐えられるかを示します。UV-Bを受けると肌が赤くなりますが、日焼け止めを塗らないと20分で赤くなる人がSPF30の日焼け止めを塗ると20×30で600分(10時間)赤くなることを防げると言った具合です。

PAは+マークの数で強さが表され、「PA+」から「PA++++」の4段階となっています。+が多いほど紫外線対策効果が高いです。

基本的には紫外線対策をするシーンに合わせたSPF、PAの日焼け止めを選ぶと良いでしょう。ちょっとした散歩や買い物であれば、SPF20、PA++程度、炎天下でのレジャーやスポーツであればSPF50、PA++++を選ぶといった具合です。また日焼け止めは塗るタイプ以外にスプレータイプやシートタイプなどの形態も販売されています。あなたの生活スタイルに合わせたものを選びましょう。

紫外線対策、日焼け止めの選び方についてお伝えしました。紫外線対策をしないと日焼けなどの軽いものから、皮膚がんや白内障などの重い病気になることもあります。また、肌へのダメージが蓄積され、年齢を重ねたときにしわやたるみといった肌の老化が現れることもあり、注意が必要です。紫外線対策は様々な方法がありますが、日焼け止めを塗るのが効果的です。使用シーンに合わせた強さの日焼け止めを選び、紫外線の強い季節を上手に乗り切っていきましょう。

関連リンク

紫外線による健康被害の予防(国土交通省気象庁)
紫外線 環境保健マニュアル2020(環境省)
日焼け – 皮膚科Q&A(日本皮膚科学会)

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