家の中にあるチリやホコリ。1mm以下の小さい物をハウスダストと呼びます。ハウスダストが体内に入った際に、異物と認識して排除しようと様々な症状が現れるのがハウスダストアレルギーです。この記事では、ハウスダストアレルギーとはどのようなものなのか、対策や治療法についてご紹介します。
ハウスダストアレルギーとは
ハウスダストは1mm以下の見えにくい家の中にあるチリやホコリのことを言い、具体的には次のようなものがあります。
- ダニの死骸やフン
- カビ
- 細菌
- 花粉
- 繊維のクズ
- 人間の皮膚片やフケ、毛髪
- ペットの皮膚片やフケ、毛髪
ハウスダストが体内に入ると異物と認識し、排除しようとして様々な症状が現れます。これがハウスダストアレルギーです。どのようなハウスダストを異物と認識するかは個人差があります。
アレルギー検査をすると、「ハウスダスト」が陽性となる人の割合と「ダニ」が陽性となる人の割合はほぼ同じで、ハウスダストアレルギーの方の多くはダニアレルギーと考えられています。もちろん、ダニ以外が原因でハウスダストアレルギーの陽性になっている場合もありますので、「ハウスダストアレルギー=ダニアレルギー」と決めつけず、病院で詳細な検査を受けるようにしましょう。
ダニ・ハウスダストが引き起こす疾患
ダニ・ハウスダストによって引き起こされる疾患としては主に次のようなものがあります。
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性結膜炎
- アトピー性皮膚炎
- 気管支喘息
ダニ・ハウスダストアレルギーは、花粉症のように期間が限定されておらず、通年で症状が出るのが特徴です。
アレルギー性鼻炎
鼻の粘膜に入ったハウスダストを排除しようとして出る疾患。主に鼻水、鼻づまり、くしゃみといった症状があります。風邪と異なり、くしゃみが連続して起こる、鼻水が透明で水っぽく、サラサラしているという特徴をしています。
アレルギー性結膜炎
目の表面にハウスダストが付着し、結膜に炎症が起きる疾患。主に目のかゆみ、充血、異物感、目やにの増加などの症状があります。重症になると春季カタルという疾患になり、目の痛みや強いまぶしさで目を開けられないといった症状があり、進行すると視力低下にも繋がります。
アトピー性皮膚炎
ハウスダストによって皮膚が刺激されて起こる疾患で、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られます。湿疹とかゆみが主な症状。湿疹は赤みがあるのが特徴で、かゆみで掻くことによってバリア機能が低下し、症状が悪化するという悪循環になりやすい疾患です。
気管支喘息
ハウスダストを吸い込んだ際に、気管支の内側が腫れる、大量の痰がたまるなどによって、呼吸困難が起こる疾患。咳や痰が出る、呼吸音が「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴になるなどの特徴があります。症状が酷い場合は呼吸困難になる、いわゆる喘息発作が起きます。
ダニ・ハウスダストの対策、予防法
ダニやハウスダストは花粉とは異なり、通年で存在するため、アレルゲンを排除するように対策することが大事です。徹底的に対策をしようとすると、ダニやハウスダストが発生するような家具をなくすなど、多岐にわたるため、ここでは基本的な対策方法を4つご紹介します。
掃除、洗濯をする
掃除と洗濯はダニやハウスダストを室内から排除できるため、対策として非常に重要で効果的です。掃除は1畳の面積を30秒かけて掃除機をかけても良いと言われています。とはいえ、毎日そんなに掃除できるという方はそういないでしょう。1週間に1度は入念に掃除をし、他の日はできる範囲で掃除をするのが良いと思います。掃除できる部屋に限りがある場合は、ダニやハウスダストがたまりやすい寝室、次にリビングを優先しましょう。
掃除する際は照明カバー、家具など高いもののホコリを取り除き、最後に床面と上から下に向かうようにします。また、ハウスダストは舞い上がりやすいため、空気の流れを乱さないように気を付けましょう。とはいえ、人の動きでも簡単に舞ってしまうので神経質になる必要はありません。人の動きがない夜のうちにハウスダストは床に落ちていくので、朝に掃除するのが理想とされています。
洗濯に関しては、洗濯機で普通に洗濯すれば問題ありません。衣類以外に、カーテンなど室内にある布製のものは適宜洗濯するようにしましょう。
空気清浄機を使う
室内の空気を綺麗にする空気清浄機はハウスダスト対策としても有効です。各メーカーから様々な機種が発売されていますが、ハウスダスト対策であれば、フィルターの目が細かいものを選ぶと良いでしょう。HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Airフィルター)というフィルターを使うタイプは0.3µm(マイクロメートル:1ミリメートルの1000分の1)の物質もキャッチするのでオススメです。
適切な室温、湿度を保つ
室温は20~25度、湿度は50%を保つのがハウスダスト対策になります。ダニは高温多湿を好むため、ダニ対策として特に有効です。他のハウスダストに対しても、湿度が低いと空気中に舞いやすいため、ある程度の湿度がある状態が好ましいです。室温はエアコンなどの冷暖房器具を使用、湿度は加湿器、除湿器を季節に合わせて使いましょう。また、春や秋などは、窓を開けて換気すると室温湿度の調整とともに、室内のハウスダストを外に追い出すことができます。
布団を干す、防ダニ対策をする
ダニが好む湿度と温度が高い環境になりやすいのが、布団をはじめとした寝具。布団を干すことで、湿度が下がりダニが棲みにくい環境となります。太陽光の熱でダニを殺すと思っている方もいるかもしれませんが、干した程度の熱ではダニを殺すことはできません。先に書いた通り、湿度を下げるのが目的ですので、天日干しが難しい場合は、室内干しでも効果が期待できます。布団を干した際に布団を叩くと、ダニの死骸やフンが細かくなって取り除きにくくなってしまうので注意が必要です。布団乾燥機はダニ退治のモードを備えているタイプもあり、そういったものを使うのも良いでしょう。
布団の丸洗いは、ダニを駆除するのに非常に効果的です。頻度が高いほど良いですが、簡単にできるものでもないので、可能な範囲で行いましょう。洗濯機が丸洗いに対応していない、丸洗いできるサービスが近くにないなど、丸洗いが難しい場合は買い替えてしまう方法もあります。
布団カバーやシーツ、枕カバーなどは定期的に洗濯をしましょう。ダニを通さない防ダニ加工のものを使うのも効果的です。
ダニ・ハウスダストアレルギーの治療
ダニ・ハウスダストアレルギーの治療は大きく分けて、対症療法と根治療法があります。対症療法は薬を使って、アレルギーの症状を抑えるもので内服薬や点眼薬、点鼻薬など症状によって様々な薬があります。薬で症状を抑えているだけですので、服用を中止すると再度アレルギー症状が出るようになります。
対して、根治療法はダニやハウスダストに対してアレルギー反応が起きないように体質を改善していきます。現時点では、アレルゲン免疫療法というのが唯一の根治療法です。アレルゲン免疫療法は減感作療法とも言われており、アレルゲンを少しずつ体内に入れていくことで、アレルギー症状が出ない体にしていきます。
アレルギーの治療法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
⇒花粉症について知ろう(花粉症の治療)
ダニ・ハウスダストアレルギーについてお伝えしました。長い目で見ると根治療法でアレルギー反応が起きない体になるのが良いですが、治療期間が長く、対象となるアレルゲンも限られています。ダニやハウスダストは花粉と異なり、季節に限らず存在しているので、掃除などの対策をするのが重要です。ご紹介した対策をしつつ、症状がある場合は薬で抑えるようにすると良いでしょう。