しながわ在宅クリニック

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家庭での血圧の測り方

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病気の予兆を知ることができる血圧。患者さんの中には家で定期的に計測するように指示されてる方もいるのではないでしょうか。家庭用の血圧計はお手頃なものも増え、手にしやすくなってきています。計測も簡単にできるものが多いですが、正しく計測できてないと計測する意味がなくなってしまいますので注意が必要です。そこでこの記事では、血圧について、家で血圧を測ることの重要性、血圧計の種類、測り方、測る際の注意点についてお伝えします。

血圧とは

人は心臓がポンプの役割をして、全身に血液を運びます。その血液を運ぶ際に血管にかかる圧力が血圧です。血圧には上の血圧と下の血圧があり、心臓から血液が送り出された時の血圧を上の血圧(収縮期血圧、最高血圧)と言い、心臓が膨らんで血液が心臓に戻ってくる時の血圧を下の血圧(拡張期血圧、最低血圧)と言います。

血圧の測定方法

血圧を測る方法はいくつかあります。ここでは家庭向け血圧計で多く採用されているオシロメトリック法について簡単に説明します。オシロメトリック法はカフで外から圧力をかけて、動脈を閉塞します。そして、徐々に圧力を弱めて血管に生じる振動によって血液がどのように流れているかを把握し、血圧を測定する方法です。

家庭血圧と診察室血圧

血圧には家庭血圧と診察室血圧の2種類があります。名前の通り、家庭血圧は家などで計測した血圧、診察室血圧は診察時に計測した血圧です。同じ測定方法でも、家庭血圧の方が低い測定値となりやすいです。これは家庭だとリラックスした状態で計測できるためと考えられています。そのため、正常値も診察室血圧と家庭血圧で異なり、診察室血圧は上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上を高血圧と判断するのに対し、家庭血圧は診察室血圧の基準より、5mmHg低い値を判断基準とします。

家庭血圧を測ることの重要性

血圧は体調はもちろん、状況や日、時間などによって変化します。家庭血圧の記録があることで医師はより正確な診断、薬の処方ができます。また、服薬をしている患者さんの場合は、薬の持続時間や効果を判断する材料になります。そのため診察時だけではなく、習慣的に家庭血圧を測定するのが大事です。

また、家庭血圧を計測することで、診察時だけ血圧が高くなる白衣高血圧や、診察時だけ正常値を示す仮面高血圧、朝に血圧が高くなる早朝高血圧などの発見にも繋がります。

血圧計の種類

家庭で使える血圧計は主に次の3種類があります。

  • 上腕式血圧計(カフ式)
  • アームイン式血圧計
  • 手首式血圧計

これらの機器は「血圧の測定方法」にも記したオシロメトリック法で計測します。医療機関では上記の機器の他に、カフと聴診器を組み合わせた計測方法や血管内に管を挿入して計測する方法などで血圧を測定することもあります。家庭での計測機器の特徴を簡単にお伝えします。

上腕式血圧計(カフ式)

カフを上腕部に巻きつけて血圧を計測するタイプ。カフを巻く際にちゃんと心臓の高さで付ければ、計測時に高さが変わることがないため、比較的正確に測ることができます。巻きつける箇所が上腕となるため、夏以外ですと素肌に巻くのが難しいのが難点です。また、カフにすき間があったり、曲がったりしていると正確に測れないので注意が必要です。

アームイン式血圧計

やや大きめの機器で腕を機器の輪に通して血圧を計測します。基本的には決まった場所に設置して使用するため、最初に高さを合わせれば以後は腕を入れるだけで安定して計測できるのがメリットです。家庭向けにややコンパクトなタイプも販売されており、設置したままにしない場合は都度微調整が必要になります。自分でカフを巻くことはないので、巻き方が不十分といったミスが起きないのも良い点です。

デメリットは大きくて場所を取るのと、他の血圧計よりもやや金額が高い(安くて1万円前後)というのが挙げられます。カフ自体は上腕に対して作動するので、上腕式血圧計(アームイン式)など、表記がいくつか存在します。

手首式血圧計

カフと血圧計が一体となった形で、手首にカフを巻いて血圧を計測します。コンパクトで携帯することも可能な点、季節を問わず素肌にカフを巻くことができるのがメリットです。計測時に手首(カフを付けた箇所)が心臓の高さになるよう維持する必要があり、正しく計測するにはコツが必要になります。

当院では季節に関係なく素肌にカフを巻けることから、手首式血圧計の使用を推奨しています。とはいえ、計測時に手首の高さを維持する必要があるなどもありますので、患者さんごとに合った血圧計を考え提案します。

血圧の測り方

血圧は1日2回、起床時と就寝前に計測します。注意点として、起床時は排尿、排便後(尿意や便意がない状態)、朝食前、降圧剤を服用する場合は服薬前に計測します。就寝前は、入浴を1時間前には済ませて計測します。起床時、就寝前どちらも、計測前の数分間安静にしてから測りましょう。

就寝前の計測について、薬の服用をしているなど、何かしらの治療をしている場合はタイミングが異なる場合があります。その場合は医師からタイミングを指定されるはずなので、その指示を聞くようにしてください。

上腕式、手首式では次の手順で計測します。

  1. 椅子に座り、背もたれにもたれてリラックスする。
  2. 上腕、あるいは手首にカフを巻く。カフは素肌に巻く。上腕式の場合、薄手の肌着などはOK。
  3. カフの装着位置が心臓の高さになるようにして計測する。計測中は腕の力を抜く。

アームイン式の場合も基本的には上記の流れですが、「2」のカフを巻く動作が不要になります。その代わり、計測前に背筋を伸ばした状態で、カフが心臓の高さになるように調整してください。

血圧を測る際の注意点

血圧を測る際は次の点に気をつけてください。

  • 上腕式、手首式のカフは隙間ができないようにぴったりと巻く。
  • リラックスした状態で測る。
  • 背筋を伸ばし、足を組まない。
  • 20度前後の快適な室温で計測する。
  • 毎回同じ側の腕で計測する。基本は利き手の反対側。抹消動脈疾患がある場合、左右で差が出るので、たまには左右で計測してみる。
  • 計測中は話をしたり、力を入れたりしない。

血圧は環境や心身の状態で上下しやすいものです。計測はできるだけ同じ環境で行うようにしましょう。食事やアルコール、タバコ、入浴など、生活の中でも血圧が変化する要因は多くあります。もし計測時に普段と異なる数値が出た場合、直前の行動や精神状態(緊張や不安、ストレス)など、気になった点は一緒にメモをしておくと診察のヒントになります。

血圧の測り方についてお伝えしました。血圧は時間や環境によっても変動します。診察時だけでなく、家庭で定期的に測定し観察することがとても大事です。測定時はカフをぴったりと巻き、装着位置が心臓の高さになるようにしましょう。もし通常と異なる数値が記録された場合は、記事内の注意点などを確認してみてください。血圧は健康バロメーターの1つ。異常があれば早めにキャッチできるよう、定期的にチェックしましょう。

関連ブログ記事

高血圧に気をつけよう

関連リンク

高血圧(厚生労働省 e-ヘルスネット)
血圧計の正しいつかいかた(オムロン ヘルスケア)
血圧の正しい測り方と家庭で測るときの注意点(シチズン・システムズ株式会社)
自宅で血圧を測ってみよう(テルモ)
血圧測り方(高血圧情報サイト Powered by CureApp)
高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)

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