うつ病が回復してくると復職や就職をして働きたいと考える方も多くいらっしゃいます。ただ、長期間休んでいたことから、働くことに不安を感じるという方もいらっしゃいます。そのような方のために、病気に合わせて復職や就職を支援する制度や病気に理解がある職場の提供など、様々な支援が行政を中心に提供されています。この記事では、うつ病が回復してきて復職や就職を考える方を支援する制度やサービスをご紹介します。
うつ病が回復してきて復職や就職を考えるも不安を感じることも

うつ病の急性期は十分な休養を取り、病状の回復に努めることが重要です。回復期に入ると復職や就職をし、社会復帰を目指す方が多くいらっしゃいます。数ヶ月、長い方はそれ以上の期間を休んでいて、仕事に就くことに不安を感じる方もいるでしょう。日本には行政を中心に、社会復帰するためにうつ病患者さんを支援する制度やサービスがいくつもあります。復職や就職に不安を感じている方は、このような制度やサービスの利用を検討してみてください。
社会復帰できる状態かどうかは主治医の判断も重要です。社会復帰を考える際は、まず主治医に判断を仰ぎましょう。あなたにあった社会復帰の手順を考えてくれることもあります。
うつ病を対象とした復職・就職支援制度

就職活動をするならまずはここ「ハローワーク(公共職業安定所)」
病気の方もそうでない方も就職を考えたらまず利用したいのがハローワーク。国(厚生労働省)が運営する総合的な雇用サービス機関です。求人情報の提供から、就職に関する相談や求職活動の仕方の案内など、就職に関わる様々なサービスを提供しています。精神疾患などの障害を抱えた方を対象とした専門の相談窓口を用意しているところもあります。
ハローワークは全国に500カ所以上あり、お近くのハローワークへご相談ください。次に記す厚生労働省のリンク先にて、お近くのハローワークを探すことができます。
ハローワーク(厚生労働省)
ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)
公共職業安定所(ハローワーク)(品川区)
就職だけでなく、生活面も支援「障害者就業・生活支援センター」
雇用や保健、福祉、教育等の関係機関と連携して、その方にあった仕事や働き方を考え、就職に導きます。サービス内容は就職相談、ハローワークへの同行、就職後の職場定着支援といった就職関連から、金銭管理や生活習慣などの生活面まで幅広く行っています。
障害者就業・生活支援センターは2025年4月時点で全国に338カ所あります。次に記す厚生労働省のリンク先にセンター一覧がありますので、お近くのセンターを探してご相談ください。
職場になじめるよう専門家がサポート「ジョブコーチ支援」
障害を持つ方がスムーズに職場で働けるように専門の職場適応援助者(ジョブコーチ)が一定期間、職場に一緒に出向きます。支援の内容は、仕事の進め方や病気を再発しないための働き方の検討など。また、雇用する側に対しても障害の特性を考えた仕事内容の提案、コミュニケーションの取り方のアドバイスなどを行います。ジョブコーチには「配置型ジョブコーチ」「訪問型ジョブコーチ」「企業在籍型ジョブコーチ」の3種類があります。
ジョブコーチ支援を受けたい場合は、地域障害者職業センターにお問い合わせください。地域障害者職業センターの一覧はこの後に記すリンクから見ることができます。
職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について(厚生労働省)
地域障害者職業センター(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)
仕事に必要な技術や知識が学べる「職業訓練」
職業訓練は仕事に必要な技術や知識を習得できる制度です。加工技術、IT関連、事務など幅広い内容が習得できます。訓練は「公共訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があります。どちらもハローワークで求職しているのが条件となっている点に注意が必要です。募集科目は常に変化するので、受講したい訓練がある場合は募集を逃さないよう、マメにチェックしましょう。
職業訓練の相談、申し込みはハローワークへお問い合わせください。
ハロートレーニング(職業訓練)について(東京労働局)
離職者の方へ~職業訓練のご案内~(品川区)
休職からの復帰を支援「職場復帰支援(リワーク支援)」
うつ病などによって、休職していた方が職場に復帰するのを支援します。休職していた方、企業の担当者、主治医の3者の間に立ち、円滑に職場復帰できるようにサポートを行います。休職していた方に対しては、生活リズムの立て直し、仕事に必要な体力や集中力の回復、コミュニケーションスキルの習得などの取り組みをします。
職場復帰支援を受けたい場合は、地域障害者職業センターにお問い合わせください。地域障害者職業センターの一覧はこの後に記すリンクから見ることができます。
リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)
地域障害者職業センター(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)
就職希望の方を総合的にサポート「就労移行支援事業所(通称:移行支援・移行など)」
一般企業で就職することを目標としている障害を持つ方を対象に、知識や能力の向上、適正にあった職場探し、職場定着の支援を行う施設です。体調管理の方法や職場でのコミュニケーションの取り方なども指導しており、就職に関する総合的なサポートが受けられます。就労移行支援は行政のサービスですが、実際の事業所は国の基準を満たした民間企業が運営しています。
就労移行支援を受けたい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口にお問い合わせください。最初に事業所を探すこともできますが、入所するにあたり、市区町村から障害福祉サービス受給者証の交付を受ける必要があるため、初めから市区町村の窓口を巻き込んで話を進めた方がスムーズに進みます。
病気に理解ある事業所と雇用契約を結んで働く「就労継続支援A型(通称:A型・継続Aなど)」
うつ病などによって、一般就労が難しい方を対象に就労機会の提供や働くための訓練を提供します。障害者総合支援法で定められた国の就労支援サービスとなっており、事業所と雇用契約を結ぶことから雇用型とも呼ばれています。病気への理解もあるため、あなたの体調に合わせて柔軟な労働環境を整えてもらえます。雇用契約となるので、給与をもらうことも可能ですし、条件によっては社会保険や厚生年金に加入することも可能です。
病気を理由に一般企業で働くのは不安があるという方は就労継続支援A型を利用するのも良いでしょう。利用したい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口にお問い合わせください。
病気に理解ある事業所と雇用契約を結ばずに働く「就労継続支援B型(通称:B型・継続Bなど)」
就労継続支援B型は就労継続支援A型と同様に、一般就労が難しい方に働く機会を提供するものですが、A型と異なるのは雇用契約を結ばないという点です。雇用契約を結ばないため、社会保険や厚生年金などの加入ができない代わりに、より柔軟に働き方を調整できます。また、給与はありませんが、作業に応じて工賃を受け取ることが可能です。作業内容はA型と比べると簡単なものが多くなっています。
利用したい場合は、お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口にお問い合わせください。
障害者雇用枠で就職できる「精神障害者保健福祉手帳」
精神疾患を持っていることを証明する手帳です。その重症度合いで1級から3級に分けられます。手帳を取得することで様々な優遇を受けることができ、仕事面では障害者雇用の枠で就職することができるのが大きいです。障害者雇用枠では、募集要件で求められるスキルが緩和されていたり、職場で病気の特性を考慮してもらえたりといった利点があります。精神障害者保健福祉手帳の手続きは市区町村の担当窓口で行います。
精神障害者保健福祉手帳(東京都福祉局)
精神障害者保健福祉手帳(品川区)
精神障害者保健福祉手帳(大田区)
精神障害者保健福祉手帳(目黒区)
生活面、就労面の幅広い支援「生活困窮者自立支援制度」
主に経済面で困り、生活していくのが難しい方の相談を受け、その人にあった解決策を考えて支援します。支援は一時的な宿泊場所の提供、家賃の支給、就労面など幅広く行っています。就労面では、一般就労に向けた基礎力向上のプログラム、就労機会の提供などがあります。お住まい地域の自立相談支援機関にて相談できます。
生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
生活困窮者自立支援制度について(東京都福祉局)
生活にお困りの時は(品川区)
生活困窮者自立支援制度(大田区)
めぐろ くらしの相談窓口(目黒区)

うつ病を対象とした復職・就職支援制度についてお伝えしました。うつ病が回復期に入り、仕事を再開あるいは就職することを考えるものの、長期休んでいていきなり働けるか不安に感じる方も多いでしょう。日本には一般企業への就職や復職を支援するものから、病気に理解ある環境で働ける場所の提供まで様々な支援制度があります。働きたいものの不安を感じている方は、ご紹介した支援の利用を検討してみてください。
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