便秘になったら便秘薬で解消するものの、すぐに便秘になってしまうという慢性便秘症で悩んでいる方は多くいらっしゃいます。そこで見直したいのが食生活。食べ物は便秘の解消に重要な要素になります。食べ物によって期待できる効果が異なり、便秘のタイプによっては便秘を悪化させる可能性もあり、注意が必要です。その辺も含め、この記事では便秘に効果的な食べ物、食事のポイントについてお伝えします。
便秘解消に食べ物はとても重要
食べ物は便秘の解消に切っても切れない重要な要素です。便のもとになるのはもちろん、腸内環境を整えたり、腸の動きを活発にしたりする効果が期待できます。便秘薬で便秘が解消されてもすぐに便秘になってしまうなど、慢性的に便秘に悩まされている方は、食生活を見直してみましょう。
便秘に効果的な食べ物
ここからは便秘に効果的な食べ物をご紹介します。便秘解消の食材としてよく聞く食物繊維や乳酸菌などの腸内細菌を増やす食べ物など、期待できる効果ごとに記載しました。あなたの便秘にあった食べ物はどんなものかを考えながら読んでいただけたらと思います。
食物繊維
便秘解消に食物繊維を摂ると良いというイメージを持っている方も多いと思います。そのイメージは正しく、食物繊維は便秘を解消するのに効果的な栄養素です。食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。2種類に完全に分かれるわけではなく、両方の性質を持った食品も多いです。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水に溶ける性質を持った食物繊維。水分を大腸まで運び、便の水分量を増やして柔らかくします。便がカチカチに硬くなって便秘になっている方に効果が期待できます。また、善玉菌のエサとなり腸内環境を整えます。水溶性食物繊維を多く含む食べ物は次のようなものがあります。
- わかめや昆布などの海藻類
- こんにゃくや山芋などのいも類
- キウイフルーツやリンゴなどの果物
- 納豆
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水に溶けにくい性質を持った食物繊維。便のかさを増やし、大腸を刺激することで排便を促します。大腸の動き自体は正常でも、ダイエットなどによって食事量が少ないことで便のかさが少なくて便秘になっている方に効果が期待できます。逆に大腸の動きが鈍くなっている方は、便秘が悪化する可能性があるので摂り過ぎに注意が必要です。不溶性食物繊維を多く含む食べ物は次のようなものがあります。
- 大豆や枝豆などの豆類
- ごぼうや大根などの根菜類
- しいたけやエリンギなどのきのこ類
- おからや玄米などの穀類
乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌など
乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などは、腸内細菌の1種で悪玉菌の繁殖を抑えるなどして腸内環境を整える効果があります。腸内環境を整え、摂取した方の健康に良い影響を与える微生物をプロバイオティクスと言います。乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌もプロバイオティクスの一種です。乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などを多く含む食べ物は次のようなものがあります。
- ヨーグルト
- チーズ
- 漬物
- 味噌
- キムチ
乳酸菌飲料のように、乳酸菌を効率よく摂取できる商品もあります。そういった商品に頼るのも良いでしょう。
オリゴ糖
オリゴ糖は少糖とも呼ばれ、ほとんど消化吸収されずに大腸に届き、ビフィズス菌をはじめとした善玉菌の栄養となります。善玉菌を増やすことで腸内環境を整えます。大腸内の細菌の栄養源となり、その増殖を促進するものをプレバイオティクスと言います。オリゴ糖もプレバイオティクスの一種です。プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせて摂取することをシンバイオティクスと言います。オリゴ糖を多く含む食べ物は次のようなものがあります。
- はちみつ
- バナナ
- リンゴ
- 玉ねぎ
- ごぼう
- 大豆
オリゴ糖単体で商品として販売もされています。甘さがありますので、砂糖の代わりに料理に使って、オリゴ糖を摂取するのも良いでしょう。オリゴ糖を含む商品は、整腸作用が認められた「特定保健用食品（トクホ）」となっているものもあります。
良質な油（不飽和脂肪酸）
油は腸内の善玉菌を増やし、腸の動きを活発にする作用があります。また、潤滑油の働きもし、排便をスムーズにする効果も期待できます。油は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に大きく分けられます。便秘に効果があるのは不飽和脂肪酸の油です。不飽和脂肪酸は魚や植物に多く含まれる油で、常温でも液体という特徴があります。油は胃腸への負担が大きく、カロリーも高いので摂り過ぎには注意が必要です。不飽和脂肪酸を多く含む食べ物は次のようなものがあります。
- オリーブオイル
- アマニ油
- サバやサンマなどの青魚
- アーモンドやくるみなどのナッツ類
便秘を解消する食事のポイント
便秘を解消するために食事で意識したいポイントがあります。
- 1日3食とってリズムを整える
- ゆっくりとよく噛んで食べる
- バランスの良い食事をする
- 水分を十分に摂る
1日3食の食事をとることは、内臓が働くリズムを整えることに繋がります。特に朝食は重要で、朝食をとることで眠っていた腸を起こす効果が期待できます。
よく噛んで食べると食べ物が細かくなって、消化吸収されやすくなります。逆に噛むのが足りていないと食べ物が消化されにくく、悪玉菌のエサになってしまうこともあります。また、噛むことで自律神経が刺激され、消化管の運動を活発にするとも言われています。
この記事で便秘に効果的な食べ物をご紹介していますが、だからといってその食べ物ばかりを食べていてはいけません。偏った食事は便秘を悪化させる可能性もありますし、何より健康に悪影響を及ぼします。バランスの良い食事をするのを前提とし、その上であなたの便秘にあった食べ物を追加してみてください。
便秘は水分がなく、硬い便になっているケースが多いため、水分を摂取することも重要です。水の中でも、マグネシウムを含んでいるミネラルウォーターは便秘に効果があると言われています。水分を大腸に運ぶ機能がある不溶性食物繊維と一緒に多めの水分を摂るのも良いでしょう。
便秘に効果的な食べ物についてお伝えしました。いくら便秘に効果があるからといって過度に偏った食事にならないように気をつけ、バランスの取れた食事を心がけてください。また、便秘のタイプによって効果的な食べ物は異なります。あなたがどのような便秘なのかを把握し、あなたにあった食べ物を取り入れるようにしましょう。一時的な便秘には薬を使って解消するのもありです。便秘薬についてはこの後に掲載する「便秘薬について」の記事に詳しく記載していますので、そちらをご覧ください。食事で便秘を解消できると慢性的な便秘の解決にも繋がります。この記事を参考に、あなたにあった便秘解消の食生活を目指しましょう。
