しながわ在宅クリニック

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うつ病で日常生活が困難な方へ、住まい、生活の支援制度やサービス

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うつ病によって、家事や身の回りのことができなくなってしまう方がいらっしゃいます。症状が重いと生活をするのが困難という方も。そのような方のために、入浴や排泄などの介護、外出や地域活動のサポートなど、多種多様な支援が行政を中心に提供されています。この記事では、うつ病の方が使える住まい、生活の支援制度やサービスをご紹介します。

うつ病によって日常生活を送るのが困難になることも

うつ病の症状によっては、家事や身の回りのことができなくなってしまう方がいらっしゃいます。そのような方が人間らしい生活をするために支援する制度やサービスが日本にはいくつもあります。生活していくのに不便を感じている方は、このような制度やサービスの利用を検討してみてください。

うつ病で日常生活が困難な方へ、住まい、生活の支援制度やサービス

生活全般に関する援助「ホームヘルプサービス(居宅介護)」

ホームヘルパーが患者さん宅に訪問し、入浴や排泄、食事等の介護をしたり、調理や洗濯、掃除などの家事を行ったりします。また、生活に関する相談や助言なども行います。一人暮らしでも家族と同居でも利用可能です。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、同行援護、行動援護等(大田区)

重い障害を持つ方の外出を支援「行動援護」

重度の障害によって、外出が著しく困難な方の支援を行います。支援の内容は、外出前後の着替えの手伝い、外出時の危険回避、排泄や食事等の介護などがあります。支援は障害の特性を理解した専門のヘルパーが担当します。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

重い障害を持つ方の障害者支援施設等での行動を介護「生活介護」

重度の障害を持つ方に対して、障害者支援施設等で入浴、排泄や食事等の介護を行います。また、塗り絵や工作といった創作活動や体操、マッサージなどのリハビリテーションの機会を提供します。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

生活介護(大田区)
障害者の生活介護(目黒区)

家族からの介護が一時的に受けられない時に「ショートステイ(短期入所事業)」

障害を持つ方を自宅で介護を行っている方が病気やその他の理由で、介護を行うのが難しい際に障害者施設等に短期間入所し、必要な支援を受けられるサービスです。支援の内容は入浴や排泄、食事の介護、見守りなど。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

短期入所(ショートステイ)(大田区)

共同生活をし、必要な介護を提供「グループホーム(共同生活援助)」

障害を持った方が共同生活施設にて生活をし、入浴や排泄、食事などの介護を受けることができます。また、共同生活を営む上での相談も可能です。共同生活をすることで、孤立の防止、生活への不安軽減などが期待できます。以前は介護を行うのはケアホーム(共同生活介護)と分けていましたが、2014年にグループホーム(共同生活援助)に一元化されました。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

共同生活援助(グループホーム)(大田区)

関係機関が連携して退院を支援「精神障害者地域移行、地域定着支援事業(退院促進支援事業)」

医療機関や地域の支援センターなどが強力して、社会的入院の患者さんが退院できるようにサポートします。退院後の生活に関する相談や同行支援など、退院して生活していくために必要なことに幅広く対応しています。支援を受ける場合は、まず病院のソーシャルワーカーや医師に相談をしてください。市区町村の担当窓口で相談できる地域もあります。

精神障害者地域移行・地域定着支援事業実施要綱(厚生労働省)
精神障害者地域移行に関する事業 – 東京都福祉局(東京都福祉局)
地域移行支援(大田区)

賃貸への入居をサポート「住宅入居等支援事業(居住サポート事業)」

保証人がいないなどの理由で賃貸契約が難しい方に入居のサポートをします。具体的には物件の紹介、入居契約手続きの支援、保証人が必要な場合の調整などを行います。障害を持っている方が対象ですが、グループホーム等に入居している方は対象外となる点に注意が必要です。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

住宅入居等支援事業(居住サポート事業)(厚生労働省)

創作活動や生産活動をする場を提供「地域活動支援センター(通称:地活(ちかつ)、活動支援センター、地域生活支援センターなど)」

障害を持つ方に創作活動や生産活動の機会を提供する施設です。また、社会交流の促進なども行っていきます。利用するにはセンターへ直接問い合わせるのが基本ですが、市区町村の担当窓口で対応してるところもあります。利用対象となる方や利用料金などはセンターによって異なりますので、問い合わせ時に確認するようにしてください。

地域活動支援センターの概要(厚生労働省)
地域活動支援センター(品川区)
地域活動支援センター一覧(大田区)
障害者の地域生活支援事業(地域活動支援センター)(目黒区)

自立した生活ができるようサポート「自立訓練(生活訓練)」

障害を持つ方が自立した生活を送るために必要な訓練をする場を提供します。具体的には食事や入浴、金銭管理などの補助、生活に関する相談並びに助言を行います。基本は事業所に通う形になりますが、訪問や宿泊型の訓練を実施しているところもあります。利用期間は原則2年間です(長期入院していた方などは3年間)。利用する場合は市区町村の担当窓口にまずは相談してください。

自立訓練(機能訓練・生活訓練)(大田区)

住居や生活に関する相談ができる「ハローワーク 住居・生活支援窓口」

仕事に関する業務を行っているイメージのハローワークですが、住居や生活に関する相談を受ける窓口があります。ハローワークで対応できる相談は幅広くはありませんが、関係機関の案内なども行ってくれるので、ハローワークを利用している方は一緒に相談してみるのも良いでしょう。

すまい・生活・しごと総合サポートのご案内(厚生労働省)

公共機関などの料金を割引「精神障害者保健福祉手帳」

精神疾患を持っていることを証明する手帳です。その重症度合いで1級から3級に分けられます。手帳を取得することで様々な優遇を受けることができ、生活面ですと都営住宅入居の優遇抽選、電車やバスの割引利用などがあります。手続きは市区町村の担当窓口で行います。

精神障害者保健福祉手帳(東京都福祉局)
精神障害者保健福祉手帳(品川区)
精神障害者保健福祉手帳(大田区)
精神障害者保健福祉手帳(目黒区)

ひとりひとりにあった支援プランを提案「生活困窮者自立支援制度」

主に経済面で困窮し、最低限の生活を送るのが難しい可能性がある方の相談を受け、その人ごとにあった解決策を考えて支援します。支援の内容は幅広く、社会との関わりに不安がある方の支援、住居がない場合やネットカフェ等の不安定な住居形態の方に一定期間宿泊場所の提供などがあります。お住まい地域の自立相談支援機関にて相談できます。

生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)
生活困窮者自立支援制度について(東京都福祉局)
生活にお困りの時は(品川区)
生活困窮者自立支援制度(大田区)
めぐろ くらしの相談窓口(目黒区)

うつ病の方が使える、住まい、生活の支援制度やサービスについてお伝えしました。うつ病によって家事や身の回りのことなどができなくなってしまう方は少なくないです。日本には行政を中心に人間らしい生活をするためにサポートをする仕組みが多くあります。サポートの内容は入浴や排泄などの介護から、外出や地域活動の支援など、幅広く対応しています。生活するのに不都合を感じている方は、ご紹介した支援の利用を検討してみてください。

関連ブログ記事

うつ病かもと思ったら、相談できる機関
うつ病で使える経済的支援制度

関連リンク

こころの健康サポートガイド 困ったときに受けられる支援・サービス(厚生労働省)
障害福祉サービスについて(厚生労働省)

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