しながわ在宅クリニック

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精神科でよく使われる薬

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精神科では、疾患や症状によって、様々な薬を処方します。抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬などですね。この記事では、薬物療法の役割、薬の効き方、よく処方される薬について、簡単に説明します。

精神科の薬

精神疾患の治療は、薬物療法と心理療法、社会療法の3つを柱に進めていきます。薬物療法は薬を使った治療、心理療法はカウンセリング、社会療法はリハビリテーションや社会復帰プログラムなどがあります。この中で薬物療法は、ほとんどの精神疾患治療で基本となる治療法です。

薬物療法の目的は、精神疾患からくる抑うつ、不安、緊張、不眠などの症状を改善すること。そして、症状が安定した後の再発を予防する目的もあります。

精神疾患の治療で薬を使うことに抵抗のある方もいらっしゃると思います。精神疾患も病気ですから、薬を用いて治療する方が効果的です。薬に抵抗がある方は、どのような点が気になっているのかを医師に相談し、納得して薬物治療を受けるようにすると良いでしょう。

服用について、効き方

精神科の薬は他の処方薬と同じように、食前や食後、食間など服用するタイミングが指定されています。薬によっては、指定されているタイミングでないと効果が薄れる、もしくは強く効きすぎる可能性があるので注意が必要です。また、食事や飲酒など飲み合わせがある薬もありますので、医師や薬剤師から伝えられたことは、留意するようにしてくださいね。

また、症状が良くなったからと自身の判断で服用を中止することはせず、必ず主治医に相談しましょう。先ほど薬物治療は予防の目的もあるとお伝えした通り、精神科の薬の多くはある程度長い期間服用する必要があります。

薬の効果は短時間で効き目が出るもの、数時間後に効き目が出るものなど、薬によって様々です。1つの目安として、薬の成分が血液中にどのくらい吸収されているかを示す血中濃度というものがあります。血中濃度が一定以上になると薬の効果が表れ、薬によって最大になる時間が異なります。臨床試験によって、血中濃度の変化は薬ごとに公開されているので、服用している薬がどのくらいで効果が出るのか調べたい時は、血中濃度で調べてみると良いでしょう。

また、効果が無くなってくるタイミングの目安として、半減期というものがあります。これは服用してから血中濃度が最大の半分になるまでの時間です。定期的に服用する薬はこの半減期から、常に一定以上の濃度になるように、1日に何回服用するかが考えられています。

精神科でよく使われる薬の種類

精神科でよく使われる薬は1900年代中盤までは、まとめてトランキライザーと呼ばれていました。現在では対象とする症状、疾患によって、抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬などに分離されています。

気分を安定させる目的で抗てんかん薬や、抗精神病薬の副作用に対して抗パーキンソン病薬など、疾患や症状によって他の薬を使うこともあります。

抗精神病薬

抗精神病薬は脳内のドーパミン神経の活動を抑えることで、幻覚や妄想、思考がまとまらない、意欲の減退などの症状を改善します。主に統合失調症に処方されますが、エビリファイ(アリピプラゾール)など気分安定作用があるとされる薬は双極性障害のような気分に波がある疾患にも使われます。また、不安や焦燥感、うつ状態に対して処方されることもあります。統合失調症で服用する場合は、いくつもの薬を併用せず、なるべく1種類を、効果が得られて副作用が少ない用量に調整するのが望ましいです。

抗精神病薬は大きく定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬に分けられます。定型抗精神病薬は、ドーパミンを受け取るのを阻害することで、幻覚や妄想、思考がまとまらないといった陽性症状を緩和します。非定型抗精神病薬は、ドーパミンだけでなくセロトニンなど複数の神経伝達物質に作用することで、陽性症状と意欲減退などの陰性症状の両方に効果が期待できます。

定型抗精神病薬に対し、非定型抗精神病薬は後に開発されたことから、定型抗精神病薬を「第1世代」「従来型」、非定型抗精神病薬を「第2世代」「新規」と呼ぶこともあります。陽性症状、陰性症状の両方に効果が期待できる点、新しいことで副作用も少ない点などから、まずは非定型抗精神病薬を処方することが多いです。非定型抗精神病薬は、ラツーダ(ルラシドン)、ジプレキサ(オランザピン)、セロクエル(クエチアピン)などがあります。

抗うつ薬

脳内の神経伝達系(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)に作用し、気分の低下、不安感などのうつ症状を改善します。主に処方される疾患はうつ病、うつ状態です。効き方のところで記した血中濃度とは別で、効果を感じられるようになるまで、個人差もありますが服用開始してから1~4週間くらいかかります。先ほどの非定型抗精神病薬を組み合わせた増強療法という治療法を用いることも少なくありません。

抗うつ薬はSSRI、SNRI、NaSSA、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬に分けられます。比較的副作用が少ない新規抗うつ薬と呼ばれるSSRI、SNRI、NaSSAが使われることが多いです。SSRIはジェイゾロフト(セルトラリン)やレクサプロ(エスシタロプラム)、SNRIはサインバルタ(デュロキセチン)やイフェクサー(ベンラファキシン)、NaSSAはリフレックス(ミルタザピン)などがあります。患者さんによっては三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬の方が優れた効果を発揮するケースもあり、古いから新規抗うつ薬よりも劣っているというわけではありません。

気分安定薬

気分を落ち着ける効果と気分を持ち上げる効果の両方を持つことで、気分の波(躁状態とうつ状態)を小さくする薬です。主に双極性障害(躁うつ病)に処方されます。気分を落ち着かせることができるため、イライラしやすい、衝動性が高いといった状態に対して用いることもあります。リーマス(炭酸リチウム)、デパケン(バルプロ酸)、テグレトール(カルバマゼピン)、ラミクタール(ラモトリギン)の4剤が気分安定薬と呼ばれることが多いです。薬によって、抗躁効果が強い、抗うつ効果が強いといった違いがあります。

抗不安薬(精神安定剤)

不安や焦燥、緊張を緩和する薬で、不安障害をはじめ、様々な精神疾患で補助的に処方されます。現在、主に使われるのはベンゾジアゼピン系抗不安薬と呼ばれる薬です。GABAという神経伝達物質の働きを強めることで、不安や緊張へ過敏になっている脳の働きを和らげます。デパス(エチゾラム)、ワイパックス(ロラゼパム)、メイラックス(ロフラゼブ酸エチル)などがベンゾジアゼピン系抗不安薬です。

抗不安薬は、この記事の初めの方に記した半減期に基づいた持続時間、効果の強さで分類されます。持続時間が短いものほど効果が表れるのが早いです。不安の様子によって、適した持続時間、効果の強さがありますので、症状について医師へ伝えるようにしてください。

抗不安薬で気を付けなくてはならないのが依存性です。長期間(数週間以上)、毎日服用していると薬に対する身体依存が形成され、今までの用量では効果を感じなくなってしまいます。そのため、抗不安薬は短期間の服用が望ましいです。依存と聞くと怖いと感じてしまう方もいると思いますが、抗不安薬は適切に使えば効果を実感できる頼れる薬です。医師や薬剤師の注意など、服用指示を守って服用すれば問題ないのでご安心ください。

睡眠薬(睡眠導入薬)

興奮している脳を休ませる、眠気を強めるなどで睡眠に入りやすくする薬です。入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒などの睡眠障害に対して処方されます。よく使われるのは、マイスリー(ゾルピデム)、ハルシオン(トリアゾラム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、ロヒプノール(フルニトラゼパム)など。

睡眠薬は作用の仕方から、脳を休ませるベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系と眠気を強くするメラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬の2つに分けられます。バルビツール酸系は安全性が低いことから、現在処方されることはあまりないです。作用の仕方以外に作用時間で、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型の4つに分類されます。睡眠薬、睡眠導入薬と呼ばれますが、両者に違いはありません。ですが、とくに短時間型のものを睡眠導入剤と呼び分けることがあります。

うつ病などの精神疾患が原因の睡眠障害には、睡眠薬よりも抗うつ薬など、原因となっている精神疾患の薬の方が効く場合もあります。睡眠障害以外に、心身で気になることがある時は、そのことも一緒に医師へ相談してみてください。また、副作用に眠気がある抗精神病薬や抗うつ薬を用いて、ちょうど良い睡眠バランスにする方法もあります。

精神科でよく使われる薬について、簡単に説明しました。薬について知るきっかけになれば幸いですが、あくまで簡単に説明したものであることはご理解ください。実際には薬剤ごとに効き方、副作用や注意点も異なります。処方を受ける患者さんは、医師や薬剤師からの説明を聞き、用法用量を守るようにしましょう。

関連リンク

向精神薬:用語解説(こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(厚生労働省))
抗うつ薬(e-ヘルスネット(厚生労働省))
精神安定剤 / 抗不安薬(e-ヘルスネット(厚生労働省))
睡眠薬(e-ヘルスネット(厚生労働省))

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