夏は多くの蜂が活発に動く季節です。人も夏季休暇などで、山や森林などのレジャーに出かける方も多く、蜂に遭遇する機会が増えます。そうなると、蜂に刺されてしまうことが発生しやすいのもこの時期。蜂に刺された時は落ち着いて対処すれば、それほど恐れなくても大丈夫です。この記事では蜂に刺された時の対処法、病院を受診する症状、蜂に刺されない工夫、家に蜂の巣が作られた時の対応についてお伝えします。
蜂に刺された時の対処法
蜂に刺されると痛みや毒の心配から焦ってしまうと思いますが、落ち着いて次の手順で対処をしてください。
- 安全な場所へ静かに移動
- 針を取り除く
- 毒を洗い流す
- 薬を塗布して、冷やす
- 安静にする
安全な場所へ静かに移動
刺した蜂が仲間を呼んだり、再度刺したりしてくるので、その場から離れます。その際、蜂の巣に近づいてしまうと、さらに攻撃されるため慌てず周囲をよく見て、落ち着いて行動するようにしてください。また、大きな声を出すと蜂を刺激してしまうので、静かに離れましょう。
針を取り除く
ミツバチは次の画像のように、刺した際に針を体から切り離して人側に残していきます。
その際、毒嚢(どくのう)と呼ばれる毒が入った袋も針と一緒に残され、時間経過とともに毒を針から体内に送ってくるので早めに対処するのが重要です。
取り除く際は毒嚢を圧迫しないように気をつけてください。クレジットカードなどでこそぎ取るのが比較的安全です。
毒を洗い流す
蜂の毒は水に溶けるため、傷口を流水で洗い流すのが効果的です。その際、傷口から手で絞り出すようにしましょう。口内に傷があった場合そこから毒が入ってきてしまうため、口で吸い出すのはやめてください。毒を吸い出す専用の器具があるので、そのようなものを使うのも良いです。
薬を塗布して、冷やす
抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗ります。保冷剤や氷のう、濡れたタオルなどで、刺されたところを冷やすと炎症が軽減され、痛みも和らげることができます。
安静にする
体を動かすと血行が良くなり、毒が回る可能性があるため、安静にして過ごしましょう。手や足を刺された場合は心臓よりも高い位置に挙げておくと良いです。毒の回りを抑えるという意味で、刺された日の入浴は避けた方が安全です。
刺された部位の炎症やかゆみは数日から数週間続き、治まるまでの時間は個人差があります。
こんな時は病院へ
蜂に刺された際に先に挙げた対処法で症状が落ち着けば問題ありませんが、次のような時は医療機関を受診してください。
- 呼吸が苦しくなる、めまい、嘔吐、下痢、蕁麻疹、意識が朦朧とする(アナフィラキシー)
- 対処後、時間経過しても症状や炎症が治まらない、悪化する
蜂に刺された時に気をつけたいのはアナフィラキシーです。アナフィラキシーはアレルギー反応のひとつで、アレルギー症状が複数の臓器や全身に現れることを言い、その中でも血圧低下や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショックと言います。アナフィラキシー、アナフィラキシーショックのどちらも症状が重いと生命に危険があるので注意が必要です。
蜂に刺されると体内に蜂毒に対する抗体ができ、再度蜂に刺されるとその抗体によってアナフィラキシーが出ることがあります。アナフィラキシーは刺されてから数分程度で症状が現れます。少しでもおかしいと感じたら一刻も早く医療機関を受診してください。
アナフィラキシーに対して、症状の進行を緩和する「エピペン」という自己注射型の薬があります。根本的に治療するわけではないため、エピペン注射後に医療機関の受診が必要です。次の基準のどちらかを満たした場合にエピペンが処方されます。
- 過去にアナフィラキシーを起こしたことがある
- アナフィラキシーを起こす可能性が高い
「アナフィラキシーを起こす可能性が高い」に関して、蜂毒の場合は抗体検査を実施します。その結果、危険性が高いと判断された場合にエピペンが処方されます。
蜂に刺されないために
蜂に刺されたら適切な処置を施すのも重要ですが、それ以前に刺されないのが一番です。蜂に刺されないための工夫としては次のようなものがあります。
- 肌の露出を控える(長袖、長ズボン、帽子の着用)
- 黒っぽい色の着用を避ける
- 香水や整髪料など、香りの強い物、甘い香りを避ける
- 蜂の巣に近づかない
蜂は肌が露出しているところを刺してくることが多いため、服装で露出を抑えるようにします。また、濃い色、特に黒い色に蜂は反応する傾向があるため、黒っぽい色の服は避けましょう。
蜂は匂いにも敏感です。香りの強いものや甘い香りは蜂を刺激し、呼び寄せてしまうので気をつけてください。また、汗の匂いに対して攻撃してくる場合もあるので、汗をかいたらふき取る、もしくは香りの強くない制汗剤を使うなどしましょう。
蜂が刺してくるのは、巣や自身に危険があると感じた時です。そのため、巣を発見したときは近づかず、静かに離れるようにしてください。
家に蜂の巣が作られた時は
蜂の巣は自然の樹木はもちろん、家の軒先や天井裏など様々な場所に作られます。もし、家に蜂の巣が作られてしまったら、被害が出る前に速やかに駆除するのが大事です。
自治体によっては無償で駆除してくれます。対象となる蜂の種類や条件も自治体によって異なるので、まずは自治体で対応しているか調べてみましょう。品川区、大田区、目黒区の蜂の巣駆除に関するWebページをお伝えしておきます。
上記以外の地域にお住まいの方は「品川区 蜂駆除」などのキーワードで検索すると自治体のWebページが見つかると思います。自治体で対応していない場合は、ご自身で駆除するか、駆除業者を利用しましょう。巣の駆除は蜂に刺されるリスクを伴いますので、ご自身で駆除するのが心配な方は駆除業者の利用をご検討ください。駆除業者は高額請求をしてくる悪質業者もあります。依頼する際はサービス内容、料金などをよく確認してから依頼するようにしてください。
蜂に刺された時の対処法についてお伝えしました。蜂に刺されると痛みと毒に対する不安で焦ってしまいますが、落ち着いて安全な場所へ避難して、毒を洗い流すなどの対処をしましょう。また、呼吸困難などアナフィラキシーを疑う症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。蜂に刺されてしまったら正しい対処をするのが大事ですが、刺されないようにするのも重要です。山や森林など蜂に遭遇する可能性のある場所へ行く時は、肌の露出を控え、黒っぽい色の服を避けるなどの対策をしましょう。
関連リンク
蜂刺され災害を防ごう(厚生労働省)
スズメバチとアシナガバチ(大田区)
ハチについての相談・ハチの駆除(目黒区)
ハチに刺された直後に取るべき3つの対応-コメンタリー(MSDマニュアル家庭版)
ハチの種類と生態について(世田谷区)
スズメバチ(東京都保健医療局)
アシナガバチ(東京都保健医療局)