強い不安や恐怖に襲われ、動悸や息苦しさなどの症状が出るパニック発作。様々な症状から死を連想し、さらに恐怖を感じてしまうこともあります。パニック発作は発作から気をそらすなどで症状を和らげられます。また、そもそも発作が起きないように予防することも重要です。この記事では、パニック発作とはどういうものなのか、自分でできる対処法、予防法をご紹介します。
パニック発作とは

パニック発作は強い不安や恐怖に突然襲われ、動悸や息苦しさ、死への恐怖などの身体症状が現れる発作のことです。急に犬に吠えられるなど理由が明確なケースもあれば、突然発作が起きる理由が不明なケースもあります。症状は数分でピークに達し、数分から1時間以内に自然と消滅します。症状は次のようなものがあります。
- 動悸がする、心拍数があがる
- 汗が出る
- 体が震える
- 息切れがする、息苦しい
- 窒息する感じがする
- 胸が痛い、胸苦しさがある
- 吐き気、お腹の苦しさ
- めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
- 現実でない感じ、自分が自分でない感じ
- 自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖
- 死ぬことへの恐怖
- 感覚まひ、うずき
- 冷たい感覚、あるいは熱い感覚がする
パニック発作になると死を連想してさらに恐怖を感じてしまうこともありますが、パニック発作が命の危険になることはありません。
パニック発作が理由もなく、繰り返し起こるとパニック障害の診断がされます。とはいえ、パニック発作があるからパニック障害とは言いきれず、うつ病などの精神疾患や身体的な疾患が原因でパニック発作が起きる場合もあります。理由がわからないパニック発作が起きた場合や、理由がわかっていてもパニック発作を繰り返す場合は医療機関を受診してください。
自分でできるパニック発作の対処法

医療機関にかかると心理療法や薬物療法で治療をしていくことになります。この記事ではそれ以外でパニック発作になったときに自分でできる対処法を紹介します。
パニック発作であることを認識する
パニック発作になるとドキドキし、息が苦しくなるなどから、「死んでしまうのではないか」という恐怖にとらわれてしまい、症状が長く、重くなりがちです。ですが、先ほども記載した通り、パニック発作が命の危険になることはありません。そのため、パニック発作が起きた際は、自分がパニック発作になっていることを認識し、命の危険はないということを思い出しましょう。
深呼吸する
パニック発作になると呼吸が浅く速くなり、過呼吸になりやすい状態に陥ります。そのため、深呼吸をすることで発作を和らげ、過呼吸のリスクを軽減します。ゆっくりと鼻から息を吸い、口からゆっくりと息を吐きます。4秒息を吸って、7秒息を止め、8秒かけて息を吐きだす「4-7-8呼吸法」が有効と言われています。「4-4-8呼吸法」「4-2-6呼吸法」など秒数に関しては様々なものが提案されています。重要なのは深呼吸をして落ち着くことですから、あなたが落ち着ける秒数を見つけるのが良いでしょう。
五感を刺激する
五感を刺激することで、不安から意識をそらして気持ちを落ち着かせます。例えば、視界に入ったものを集中して見る、音楽を聞く、好きな香りをかぐ、冷たい水を飲むなど。
五感を使ったパニック発作の対処法として「5-4-3-2-1法」があります。「5-4-3-2-1法」は次の手順で行います。
- 「見えるもの」を5つ確認する
- 「聞こえる音」を4つ確認する
- 「触れるものを」3つ確認する
- 「香り」を2つ確認する
- 「味」を1つ確認する
1つずつ刺激に集中することでパニック発作を落ち着かせることができます。
安心する言葉を繰り返し言う
「大丈夫」「落ち着いて」「心配ない」など、落ち着かせる言葉を繰り返し言うことで落ち着きを取り戻します。自分の声に集中することで先ほどの五感を刺激するのと同様に不安から意識をそらせます。また、安心する言葉を繰り返すことで、自身に言い聞かせることになり、不安を和らげる効果も期待できます。
その場から移動する
騒がしい場所や人が多い場所は、視覚や聴覚へ過剰な刺激となり、不安を増幅させてしまいます。そのため、静かな落ち着ける場所へ移動することはパニック発作を和らげるのに有効です。また、移動は軽い運動にもなるため、不安から注意をそらす効果も期待できます。どのような場所だと落ち着けるのかを把握しておくと良いでしょう。
パニック発作の予防法

パニック発作の対処法をご紹介しましたが、そもそもパニック発作を起こさないのがベストです。ここではパニック発作の予防法をご紹介します。
カフェインやアルコールを控える
カフェインには交感神経を刺激する作用があり、心拍数の増加や動悸、手の震えなどを引き起こすことがあります。これが不安感と結びつくことで、パニック発作を誘発してしまいます。コーヒーだけでなく、エナジードリンク、緑茶、紅茶、チョコレートなどにもカフェインは含まれているため、摂取量には注意が必要です。
また、アルコールは一時的にリラックスできるように感じられますが、体内で分解される過程で自律神経が乱れやすくなります。特に飲酒後や翌日に動悸や不安感が強くなり、パニック発作のきっかけになることもあります。
規則正しい生活をする
生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩し、パニック発作を起こしやすい状態をつくります。
特に重要なのは睡眠です。睡眠不足が続くと脳が不安を感じやすい状態になり、小さなきっかけでも動悸や息苦しさを感じやすくなります。毎日できるだけ同じ時間に寝て、同じ時間に起きる習慣をつけることが大切です。
また、食事を抜いたり、夜遅くに重い食事をとったりすることも体への負担になります。血糖値の急激な変動は動悸やふらつきを引き起こし、不安感を強めることに繋がります。1日3食、できるだけ決まった時間にとることを心がけましょう。栄養バランスの良い食事にするのも重要です。
ストレスを発散する
ストレスが蓄積すると、心も体も常に緊張した状態になります。この状態が続くと、自律神経のバランスが崩れ、パニック発作が起こりやすくなります。
ストレスをなくすことは難しいので、大切なのはこまめに発散することです。ストレスを発散する方法の例として次のようなものがあります。
- 軽いウォーキングやストレッチをする
- 深呼吸や瞑想をする
- 好きな音楽を聴く
- 趣味に没頭する
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
不安を感じる場所を避ける
過去にパニック発作を起こした場所や、「また発作が起きたらどうしよう」と強く不安を感じる場所は大きなストレス源になります。強いストレスはそれ自体が引き金となり、パニック発作を引き起こすことがあります。
そのため、体調が不安定なときは無理にそうした場所へ行かないことも大切な自己防衛です。「避けること=悪いこと」ではなく、心と体を守るための対処法のひとつです。ただし、長期間にわたってすべてを避け続けると、行動範囲がどんどん狭くなってしまうこともあります。調子が安定してきたら、次のような工夫をして少しずつ慣らしていくと良いでしょう。
- 家族や友人と一緒に行く
- 滞在時間を短くする
- いつでも帰れる状況をつくる

自分でできるパニック発作の対処法をお伝えしました。パニック発作は時間経過で収まるもの、発作で死ぬことはないことをまずは理解するのが大事です。そして、発作が起きたときはそのことを思い出し、発作以外のことに意識を集中するようにしましょう。パニック発作は起きないように予防することも重要です。カフェインやアルコールを控え、規則正しい生活を心がけましょう。パニック発作が頻繁に起こる、長期間繰り返されるなど、一時的でない場合は医療機関を受診するようにしてください。
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パニック発作とパニック症(MSDマニュアル家庭版)